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| 岐阜市郊外で2001年2月から稼働を始めた新工場
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システム運用のサポートも事業の一つ。ユカアンドアルファ、東レACS、島精機のCADを揃えている
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パターン作業はすべてCADで(CADをオペレートする川口木の実専務)
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高品質工業パターン研究所≠ニ呼ぶユニークな「工場」がある。岐阜市郊外にあるアンティフリーズ(岩井正博社長)である。日本のアパレルのモノ作りは、パターンと縫いがかみ合っていないことがよく指摘される。このため工業パターン化と縫製技術を提案することを柱に、CADのシステム構築なども行うのが同社のビジネス。量産機能も備え、現実の製品を生産しながらノウハウを深めている。単なるパターン企画会社でも縫製工場でもなく、いわばモデリスト的な機能を持ったアパレルのアウトソーシングの受け皿という存在である。
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JR岐阜駅から車で約十分。岐阜市と道一つ隔てた岐南町で今年二月からアンティフリーズとプレストが入る新工場が稼働を始めた。かつては縫製の大産地といわれた岐阜だが、海外生産への急速な転換で空洞化が進む一方。「岐阜では最後の縫製の新工場と言われている」と岩井社長は苦笑する。
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分断構造に事業の芽
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岩井社長は大阪工業大学経営工学科修士課程を修了と同時の一九七七年、父親が経営していた岐阜の縫製工場「ロック衣料」に入社する。アンティフリーズはロック衣料で委託加工経営に携わる中、一九九五年に新しいビジネスを求めて設立したもの。新工場の建設を機に「独り立ち」の形で本格的なスタートを切った。
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アンティフリーズの業務は、マスターパターンの高速作成(プログラム化)、工業パターン化、グレーディング方式の解析、各種データ電送システムの提案、システム運用計画の策定、縫製技術のマニュアル化、それと縫製加工。また、プレスト(岩井恵美子社長)は縫製専門である。
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日本のアパレルのモノ作りは、アパレルメーカーと縫製メーカー(工場)に分断されているのが一般的で、アパレルメーカーに所属するパターンメーカーは生産現場との十分なコミュニケーションがないまま、そのままでは縫えないパターンを工場に支給するケースが多い。このため工場で「縫えるパターン」に修正しているところがほとんど。こうした重複作業がコスト高の要因の一つになっており、さらに企画サイドの感性や意図が十分反映されない服が出来上がってしまうケースも少なくない。
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「パターンに意思表示がないから工場がそれぞれの作り方を盛り込んでいる。そんなつじつまが合わない状態のまま現状の仕事が進んできているので、それをクリアするためにうちを利用してもらう。だけど工業パターンだけ出来ても、その工業パターンに基づく縫製ノウハウがない工場に出されると、せっかく作った工業パターンがきちんと評価されないので、量産までやるし縫製技術の指導を行う。つまり、結果として良い商品を上げるまでの流れを作るんです」(岩井社長)
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同社が掲げる高品質工業パターン研究所とは、いわば日本のアパレル産業の「分断構造」そのものを事業の芽にしたわけである。
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外と内の関係に着目
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「最初は型紙というのは完璧なものと考えていた。そう考えていた時期は社内はベテラン技術者主導で動いていた。ところが絶えずトラブルも発生していた」。岩井社長はロック衣料時代に工業パターンに着目したきっかけをこう話す。そこで受注したパターンを十年近くかけて整理してみると、「パターンをこう直したときには、こんな縫い方をしておけばほぼミスが起きないということに気付いた」。パターンと縫いを結びつけて考えるようになったという。
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同時に工業パターン化のポイントも明らかになってきた。それは「服にはすべて外と内の関係がある」ことだった。「袖付けにしても身頃が内回りで袖が外回り。袖口も表が外回りで中側が内回り。ダーツでも地の目を動かしてはダメな方を外と考えると、地の目を引きずって反対側のダーツ線に持ってくる方が内になる。でも、初歩的な話ですが、台襟で表と裏が同じ寸法で付けて欲しいというパターンが来るんです」と指摘する。
工業パターンは素材を分析し、外と内の関係を設計しなければならない。また、工場によって生産条件が違う。中間工程で使うボイラー一つによって温度も蒸気の性質も異なり、素材の変化が変わってくる。このため現場に足を運ばなければ工業パターンは出来ないと強調する。
「つじつまの合わない型紙がいっぱい来ますから、最終的に工場で修正しないと良いものが上がってこない。手を入れないパターンでやると、縫い場で修正する技術者が必要になる。しかし、技術者が年々少なくなっている」。加えて、外国人研修生のウエートが高くなってきた。研修生は在日期間が三年間と決まっており、「出来るだけ早く教育を完了し、戦力化しないといけない」。このため岩井社長は、工場におけるモノ作りの技術指導のポイントを書き出していくと百五十二項目にのぼったという。これでは最初から順番どおりに教育しても相当の時間がかかってしまう。そこでも工業パターンの重要性に行きつく。「パターンは設計図。設計図どおりに縫えばそこそこの上がりになる。それに味付けをして雰囲気を加えるのが技術。工業パターン化が出来たときに、教育の内容が変わってプログラムの数が一気に減り、教えるスピードがアップした」。技術指導が二十項目程度に減少し、同社では今、研修生は一カ月位で十分な教育が出来るそうだ。五年前からスタートした技術指導事業でも工業パターンと縫いをセットで研修させる。
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量産機能を国内にも
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工業パターンとそれに基づく縫製技術を構築してきた同社では海外生産も視野に置くが、国内の量産機能を手放さない。現在、裁断と仕上げは外部だが、縫製は同社とプレストで二十二人を社内に抱え、オールアイテムに対応する。多様なアイテムをこなすため、ぐし縫い、袖付けをはじめ、千鳥、平飾りなど規模にしては多種多数のミシンを揃えている。
「素材特性や今流行の素材の危ないところを絶えず見て、それをパターンに反映させたりアタッチメントを開発するノウハウを吸収する場は欠かせない。それには国内に製造現場、縫製工場が必要。中国で何千人の工場でも一ラインは二十人とか二十五人。国内にその一ライン位の量産機能を持ちましょうという話なんです」
理論だけでなく、縫製工場経営を通して実践することにより、より現場に即したシステム構築を目指すというのが同社の考えだ。
岩井社長は九七年夏、イタリアのモデリスト養成専門学校であるセコリ校に短期留学し、三百人ほどの工場を訪問する機会があった。この工場では十五万円位の商品を生産していたが、粗裁ち工程がないのに驚いた。「日本のような粗裁ちが不要だから余分な生地は使わないし、生産性が高い。手間を掛けないで良い商品を作るノウハウの違いを見せつけられた」。その時、パターン、素材、縫製がきちんと分析されているから可能であることを実感した。
また、その工場には体育館のような大きな原反倉庫があった。日本では原反をイゲタに上積みしているところが多いが、ここではスポンジング後は数千反の原反を一反ずつ横並びさせていた。素材にマッチしたパターンが出来ているので、素材をひずませないという思想を徹底していたことに共鳴したそうだ。
中国にも出かける機会の多い岩井社長はこうしたイタリアをはじめとした欧米のモノ作りが今、中国の民営工場に導入され出しているという。「中国で完全な工業パターンで作り出した結果物が出来ており、中国の方が日本より進んでしまう。そこが恐ろしい。日本のアパレルがサンプルルームを自社内に整えればうちの仕事はゼロになるが、そういう方向に進んでいない。イタリアで見聞きしたこととスタンスが百八十度違う」と警鐘を鳴らす。